ハングルの呼称について

韓国

韓国では「ハングル」(偉大なる文字)と呼びます。

成立当時は「訓民正音(훈민 정음)」と呼ばれました。本来は漢字との併用ですが、漢字は、公文書で使用が停止されたり、1970年に「克日」のスローガンの下に義務教育での教授が停止されるなどした時期があったため、一度はほとんど使用されなくなりました。

近年、韓国内の漢字推進運動が影響力を増し、公文書で限定的に扱われるようになり、義務教育で約900字を教えるようになりましたが、日常の文章で漢字が用いられるのは希で、新聞の見出しや地名・人名・歴史的用語で一部見られる程度です。

若年層では自分の名前さえ漢字では書けないことも珍しくありません。(最近は、名が漢字ではない人がいますが、これは日本におけるカナによる命名と同様で、必ずしも関係はありません。女子プロゴルファーの朴セリ選手が有名です。)

ハングルという名称は国語学者である周時経(주시경、チュ・シギョン、1876年~1914年)が名付けたと言われています。

ハンが「偉大な」、グル(クル)が「文字、もしくは文」という意味です。


北朝鮮

北朝鮮では「チョソングル」(조선글、朝鮮の文字)もしくは「ウリグル」(우리글、我々の文字)と呼びます。
これは「ハン」が「韓(ハン)」に通じることを嫌ってのことと言われます。

基本的に、北朝鮮においても漢字はほとんど使用されておらず、日本や中国からの観光客向けの外来語という扱いとなっている場合が多いです。

かつては女手を意味する「諺文」(언문、オンムン)と呼んでいましたが、軽蔑的なニュアンスがあるので廃止されました。


日本

日本では、かつては「諺文(オンムン)」が日本風になまった「おんもん」と呼ばれていました。また「朝鮮文字」と呼ばれていましたが、現在は、北朝鮮で使われているものであっても、韓国の呼称にならって「ハングル」と呼ぶのが一般的です。

ただし、その呼び名をめぐっては誤用・誤解がよく見られます。

たとえば、朝鮮語を指してしばしば「ハングル」あるいは「ハングル語」という呼称が用いられますが、「ハングル」とは文字体系の名前であって、言語の名前ではありません。

したがって、朝鮮半島で用いられる言語の名前として「ハングル語」と呼ぶのは、英語を「ローマ字語(ラテン字語)」、中国語を「漢字語」と呼ぶようなもので、間違った表現です。

しかし、公共的な性格を持つ報道機関では、「朝鮮語」を用いれば韓国系の団体から、「韓国語」を用いれば北朝鮮系の団体から抗議が来て、いずれを採っても角が立つことがあるため、こうしたトラブルを回避するために、両方の呼称を避けて言語の名前がわりに「ハングル」もしくは「ハングル語」を用いたり、中立的な立場から英語を用いて「コリアン」などと呼ばれることがあります。

NHKが朝鮮語のラジオ・テレビ講座を開設するにあたって「ハングル講座」という名称を使うことになったのはそのためです。

ただし、上記のように「ハン」が韓国(ハングク)の「韓(ハン)」になりかねないとして、「ハングル」という表現でさえ韓国寄りであるという意見もあります。


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